半世紀を越えて愛されるもの

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夏休みの時期に神戸大丸とそごうにて「ミッフィー展」と「スヌーピー展」が開催されていました。

せっかくなので、娘と一緒に行ってきました。

そごうで開催されていた「PEANUTS 65th Anniversary Party」は、オープン直後に行ったにも関わらず、あまりの人の多さで残念ながらゆっくり見て回ることはできませんでしたが、Anniversary Partyのテーマにふさわしく、所狭しとスヌーピーの世界観が数多くディスプレイされていました。

今回は神戸大丸で開催されていた「ミッフィー展」の感想を紹介させてください。

ミッフィーが生まれたのは60年前のオランダにて。絵本作家でグラフィックデザイナーでもあるディック・ブルーナさんの手によって産み出されました。

展示では、「ミッフィー」はブルーナさんがシンプルを追求した結果、現在私たちが慣れ親しんでいる「色・かたち」に辿り着いたこと、ミッフィーの絵本が正方形なのは子供の手に一番おさまり易いからであることなどが紹介されていました。

ミッフィーに登場するキャラクターはどれも単純な形をしていますが、単純だからこそどんな風に描けば泣いてるように見えるか試行錯誤されているのが、何度も描き直されているブルーナさんのラフスケッチから見てとれました。

そして、私が一番驚いたのはブルーナさんがミッフィーを描く様子を写した動画でした。なんとあのシンプルな線を、筆でひとつひとつ点を置いて、点をつなぐようにゆっくりゆっくりと描かれていました。口の「×」を描くのにもいくつも点を置いていくんです。

全体を通して、ブルーナさんの優しさやこだわりを感じることの出来る展覧会でした。

今年、65周年を迎えたスヌーピーと60周年を迎えたミッフィー。

半世紀を越えて愛され続けるキャラクターは、作者のこだわりに支えられ、老若男女を一瞬で惹き付けるのだなと2つの会を通して感じました。

天野喜孝展

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兵庫県立美術館で開催中の天野喜孝展を見に行ってきました。

私が最初に天野さんの作品を出会ったと思っていたのはファイナルファンタジーでした。

子供だった当時、天野さんのイラストの妖艶な雰囲気が怖いと感じていましたが、デザインの仕事に携わるようになり、だんだんと天野さんのイラストに惹かれていきました。

大人になってから、私が天野さんに出会ったのはもっと小さい頃に見たヤッターマンだと知りました。

幼い頃はただのアニメだと思って見ていたヤッターマンですが、すでに天野さん独特の流線で描かれたボディラインや躍動感溢れるポージングが使われていて、こんなに大人向けのイラストだったんだなと改めて驚きました。

タツノコプロから独立された天野さんは、小説の挿絵などを描き、ここで西洋画(クリムトやビアズリーのような雰囲気を感じました。)と仏教美術の鮮やかな色彩を融合したようなファンタジーな世界観が完成されていったように思います。

その後、発表されたファイナルファンタジーのキャラクターデザインはどれもが今にも動き出しそうで、アニメーションでの経験が存分に活かされていると思いました。

ファイナルファンタジーの後、源氏物語や千夜一夜などの古典を描かれた天野さんは、2007年「N.Y. SALAD」というやさいの妖精たちの日常を描いたアニメーション作品を発表されます。

繊細なタッチはそのままに、みなしごハッチの可愛らしさを合わせたような、大人っぽくも子供っぽくもある不思議な世界観でした。

そして、現在天野さんは「Candy Girl」というSF戦隊のキャラクターを発表されています。

これはツルツルのアクリル板に蛍光やラメなどをつかってキラキラ・ピカピカとした色合いで描かれた女戦士です。

「N.Y. SALAD」に「ヤッターマン」の要素が加わったような、強くて可愛らしい魅力溢れるキャラクターたちです。

天野さんの作品展を通して、経験した全てをご自身の作品に投影しながら進化しておられる方だという印象を受けました。

未だ創作意欲が溢れ出す、御年63歳のクリエイターに尊敬するばかりの展示会でした。

明けましておめでとうございます

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明けましておめでとうございます。

年末に「歌川広重と川瀬巴水」の画集を買いました。

二人とも風景版画家で、それぞれ広重は江戸時代後期、巴水は大正〜昭和にかけて活躍をしました。

川瀬巴水の作品集が欲しくて買った1冊でしたが、広重の版画と並べると、江戸時代の版画は輪郭線がはっきりしていて、よりイラスト的なのに比べて、巴水の版画は絵画と見紛うような奥行きと立体感があるのがはっきりと分かり、面白い1冊でした。

版画では絵師がクローズアップされますが、絵師の下絵を彫師・摺師が表現したものが私たちが見ている作品なので、版画をみているといつもチームワークのすごさを感じます。

パーマネントデザインは今年もお客様により良いデザインを提案できるよう、お客様のより良いチームの一員であれるよう頑張っていきたいと思います。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。